目標10人や国の不平等をなくそう 世界が抱える課題/問題
私たちが暮らすこの世界は先人たちの叡智と努力の結晶と言っても過言ではありません。
交通機関の発達、科学技術の進歩、そして国同士の友好関係によって世界中どこへもいくことができ、食べたいもの、飲みたいもの、着たい服、なんでも手に入る環境が整っています。
これは本当に素晴らしいことですよね。
私が幼少の頃と比べてみても便利な世の中になったと実感しています。
しかし、この世界にはまだまだこの便利さ、豊かさを実感できていない人が多くいます。
そしてそれは、生まれた場所など、自分の努力ではどうしようもない不平等な環境によって阻害されていることが多いのです。
上記のようなことをなくしていこうと考えるのが、SDGs目標10『人や国の不平等をなくそう』です。
意識しないと広がる世界の格差
SDGsの大切な考え方のひとつに『誰一人取り残さない』という強い考えがあります。
英語で言うと『no one will be left behind』という言葉です。
一部の人達だけが幸せで他の人は貧しく我慢をしているということは、良い世界の在り方とは到底言えません。
世界のデータをひとつ紹介すると、世界の預金額や株式の金融資産を見ると、貧しい人たちのおよそ36億人分の資産をわずか数人の資産家の人が持っているという調査結果があります。
もちろん膨大な資産を有する資産家の方も絶えまぬ努力でそれを築き上げてこられたのも事実ですが、それにしても格差がありすぎることは大きな問題と言えます。
近年、世界で解決すべきこととして挙げられているのが、豊かな国が貧しい国へ不当に安い賃金で仕事を発注する、もしくは資源を安く買い上げるという問題です。
買い物をするとき、私たちはよく安いものを重視して買い物をしがちです。
しかし、その商品がなぜそのように安い価格で販売されているのかを『知らない、考えない、興味がない』そんなケースが多くあると思います。
もちろん企業側の努力により正当に安い金額で提供されているケースもありますが、中には生産者に不当に安い金額を要求し生み出されている商品もあります。
また、付加価値を付けるための加工技術を教えてあげないことも問題のひとつです。
商品追跡可能システム⁉トレーサビリティって?
これからの未来に必要な考え方として『トレーサビリティー』という言葉があります。
これは物品の流通経路を原材料の採取から生産段階をへて最終の消費段階あるいは、廃棄段階まで追跡が可能な状態のことを指します。
その商品がどのように生産されたのかを私たちが知ることのできる仕組みです。
そのような仕組みの中で『世界フェアトレード機関』というものがあります。
これらの認証を受けると、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に取引していることが証明されます。
また、現地の環境や人権にも配慮している証拠にもなります。
世界中の人が働いた分だけ、努力した分だけ報われる世界になるために必要な知識・考え方です。
違いを活かしマイナスをプラスへ
『不平等をなくそう』の考えには、差別をなくすことも含まれています。
世界には色々な国、そして様々な人たちがいます。
先進国や発展途上国、人種や言葉、文化の違いだけではなく、肌の色、髪の色、見た目、生活習慣や宗教など違いを上げるとキリがありません。
これからの時代、私たちは『差別をなくす』という考えよりも『違いを活かす』という考え方が重要だと考えています。
いわば、マイナスをゼロにするのではなく、マイナスを全世界でプラスに持っていく考えです。
日本もかつては男性社会で女性は社会進出からほぼ阻害された存在でした。
しかし、男女差別をなくそうという考えから、徐々に女性の社会進出が進むようになってきました。
その中でもいち早く成功を収めた企業は、女性を雇用することを活かしそれを強みに商品開発した企業です。
一人一人のの違いは、これからの時代、大きな武器となると言えます。
これはSDGs全般に言えることですが、SDGsを単なる慈善活動、環境活動と考えるのではなく、今以上に発展していく考えると捉えられるかで大きく変わっていきます。
例えば、『人や国の不平等をなくそう』でも今まで海外に出稼ぎにでる方々の間で大きな問題となっていたのが母国に送金する際の手数料でした。
労働許可を持たない人は銀行口座を開設できず、クレジットカードも持てないことも多いため、せっかく稼いだ貴重なお金を割高な送金専門業者を利用せざるを得ませんでした。
その中で銀行を通さず送金できる『電子決済アプリ』が注目をされました。
銀行口座を持たなくてもコンビニで現金をアプリに入金し、アプリ操作するだけで国を超えて送金できるシステムです。
中国のIT大手アリババの電子決済アプリ『アリペイ』もその中のひとつで、インドやインドネシア、タイ、韓国などアジアを中心に地元のスマホアプリと提携し急激に拡大しています。
世界は今、大きな転換期、パラダイムシフトの中にあります。
自分の中の常識に囚われることなく、また既得権を守ろうとせず、新しい考え、そしてそれは多くの人の幸せを願う考えであるほど、より良い未来を創ることができると言えます。
☟その他世界の現実:数値で見る課題・問題
- 2021年から2017年の31ヵ国のデータで、10人に2人弱は差別を経験している。障害のあるケースに限っては10人に3人は差別を経験しており、なかでも女性は性別、民族、宗教などの複数の差別を受けることが多い。
- 新型コロナウイルス危機は最も脆弱な人々に最も大きな打撃を与えており、不平等が悪化している。世界不況により最貧国への援助が減れば、その影響はさらに深刻になると予測されている。
このような課題/問題を解決するためにSDGs目標10人や国の不平等をなくそうではどのようなターゲット・指標が設定されているのでしょう?
目標10人や国の不平等をなくそう ターゲットと指標
目標10人や国の不平等をなくそうでは、10個のターゲット(具体的な取り組み内容)と、11個の指標(達成・未達成の判断基準/項目)が設定されています。
それでは、どんなターゲットや指標があるか見ていきましょう。
↓初めは数字表記のターゲット及び指標
ターゲット(具体的な取り組み内容) | 指標(達成・未達成はどんな指標で判断?) |
10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる | 10.1.1 一人当たりの家計支出又は所得の成長率(人口の下位40%のもの、総人口のもの) |
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいわ経済的地位その他に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する |
10.2.1 中位所得の半分で生活する人口の割合(年齢、性別、障害別) |
10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する |
10.3.1 過去12ヶ月に個人的に国際人権法の下に禁止させている差別又は嫌がらせを感じたと報告した人口の割合 |
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する |
10.4.1 GDPの労働分配率(賃金と社会保障給付) |
10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する |
10.5.1 金融健全性指標 |
10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する |
10.6.1 国際機関における開発途上国のメンバー数及び投票権の割合 |
10.7 計画に基づき良く管理された移住政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する |
10.7.1 移住先の国における年収に対する労働者の採用において発生した費用の割合 |
10.7.1 十分に管理された移民政策を実施している国も数 |
↓ここからアルファベット表記のターゲット及び指標
10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる特遇の原則を実施する |
10.a.1 ゼロ関税の後発開発途上国及び開発途上国からの輸入に対し課した関税ラインの割合 |
10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する |
10.b.1 開発のためのリソースフローの総額(受援国及び援助国、フローの流れ(例:ODA、外国直接投資、その他)別) |
10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を超える送金経路を撤廃する |
10.c.1 総送金額に占める送金コストの割合 |
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