- 社内の意思伝達ができてなくて、顧客に迷惑をかけた経験がある
- 異常発生時の処置が適切でなく、仕事を失ったことがある
会社員ならこんな嫌な経験、一度はあるのではないでしょうか?
私も異常発生の事実を顧客のクレームにより初めて認知し、会社の管理体制に不信をもたれ、大口の仕事を失った経験があります。
この経験を踏まえ、異常発生時の処置の適正化が、顧客との信頼確保に不可欠であると改めて認識しました。
しかし、人が関わる仕事において、ヒューマンエラー=異常発生は必ず発生します。
会社内では、異常が発生した場合の対応を明確に決め、従業員に周知する必要があります。
この記事では、『異常発生時の処置の重要性』『異常発生時の処置を設定するときに最低限必要な項目(サンプルあり)』『会社内に異常発生処置を定着させるための有効な方法』を解説します。
この内容を軽視・理解不足だと会社の存続にも関わる重要な内容ですので、是非一読ください。
異常発生時の処置方法の設定がなぜ必要か?
これは、異常発生時の処置方法が設定されていない場合のデメリットを考えれば明確です。
- 異常の処置が適当な会社を、顧客は信用できない
- 異常の処置もできない会社に仕事は任せようと思わない
どんなに、コストメリットがあり、自分の会社の製品やサービスに自信があっても、異常発生時の処置が適正でないと、顧客からの長期的な信用を得ることは難しいです。
短期的には取引が続く可能性はありますが、自社が提供している製品・サービスと同等な会社が現れたら、仕事を失う可能性は高いです。
私が経験した実例を紹介します。
これは、何が悪かったのでしょう?
報告をしなかった部下?もちろんそれもあると思います。
しかし、上記の文をよく見てください。
一番初めの行に『何かあったらすぐに報告しろよ』私が指示していた内容が書かれています。
この『何かあったらすぐに報告しろよ』
今思うと反省と後悔しかありません。
『何か』この何かは人の価値観や今までの人生経験等で人それぞれ違います。
この『何か』を明確にし、会社で運用する必要があったのです。
今までの話で異常発生時の処置を設定し、会社で運用することの重要性は分かっていただけたと思います。
でも、具体的に何をどうやって設定すればいいの?
このような疑問が残ると思います。
次の項では異常発生時の処置に必要な設定項目を解説します。
異常発生時の処置に必要な設定項目
異常発生時の処置を会社で有効に機能させるためには、下記の4項目は最低限必要です。
- 基本方針の設定
- 異常発生の定義設定
- 異常発生時の打ち上げルール・ルートの設定
- 標準化:サンプルフォーマット
順番に解説します。
基本方針の設定
まずは、基本方針→異常発生の処置に対する基本的な考え方を設定します。
私が思う基本的な考え方は
ベースとなる考えは『異常』=『普段とは違う全てのこと』これを指します。
異常発生時に情報共有がされない一番の理由は、本人がそれを異常と感じていないからです。
なので、重要度(重度・軽度)は関係なく、普段と違うことは全て情報共有するという基本方針を設定しましょう。
異常発生の定義設定
基本方針を設定しましたが、やはり異常=普段と違うことだけでは、具体的ではなく、各個人の価値観を近づけるには不十分であると言えます。
そのため、先ほど設定した基本方針をここで細分化→定義設定していきます。
具体的な定義設定の例として
- 交通事故(加害・被害)
- 商品事故(転倒・雨濡れ・荷崩れ等)
- 労働災害(軽度な災害も含む)
- 通勤災害(軽度な災害も含む)
- 自然災害が発生した場合
- フォークリフトでの接触事故
- 誤搬入(アドレス違い・場所違い等)
- 車両・設備異常(故障・緊急停止)
- 搬入遅延の可能性及び、遅延が発生した場合
- 周囲への環境汚染のおそれのある場合(オイル漏れ等)
- 品質異常
- 顧客からのクレーム全て
- その他、責任者への情報共有が必要な事項全て
このような形で、自分の会社・業務で発生する可能性のある異常を事前に洗い出し、異常発生時の定義を決めます。
自分の会社・業務にあった異常の定義を明確にすることで、従業員の異常に対する価値観を近づける役割を果たします。
異常発生時の打ち上げルール・ルートの設定
基本方針の設定・異常発生の定義の設定が完了しました。
次に行うのが、異常発生時の打ち上げルール・ルートの設定です。
異常発生時の打ち上げルール・ルート設定で最低限入れておきたい項目は
- 異常発生時は自己判断せず速やかに打ち上げすることの文面
- 異常発見後の連絡同線(どこに・誰に連絡するか)
- 異常発見後の指示同線(誰の指示に従うか)
異常に対する基本方針や定義が決まっていても、異常発見後に誰に・どこに打ち上げをして、誰の指示に従えばいいか決まっていなければ意味がありません。
この内容は次の項で説明する『標準化:サンプルフォーマット』を見ていただければ、より理解できると思います。
標準化:サンプルフォーマット
ここでは、今までに解説してきた、『異常発生時の基本方針』・『異常の定義』・『異常発生時の打ち上げルール・ルート』を網羅したフォーマットのサンプルを紹介します。
こんな感じです。
どうでしょうか?
このような、標準化(ルール化)した帳票があり、関係者へ展開できていれば、異常発生時に速やかに適した対応が取れる確率が間違いなくあがります。
事項では、このような標準化(ルール化)した内容を、会社・職場に定着しやすくなる運用方法を解説します。
異常発生時の処置が定着しやすい運用方法
前項で、標準化(ルール化)した異常発生時の処置ルール・ルートが完成しました。
次に気になるのが、どのようにこの内容を運用すればいいか?
このような疑問が浮かぶと思います。
異常発生時の処置ルール・ルートを適正に運用するポイントは下記の4項目です。
- 新人入社時の教育に導入
- 過去のトラブルを共有
- 定期的な教育は必須
- 顧客との事前整合ができれば、より有効
順番に解説します。
新人入社時の教育に導入
上記で頭をひねって作成した、異常発生時の処置ルール・ルートを、会社の従業員で共有できたから安心。
この考えは危険です。
結構、盲点なのが新人入社時の教育です。
当たり前ですが、新人さんは会社に入ってきたときに、その会社のルールを知りません。
業務内容の習熟や教育には力を入れるけど、異常発生時の処置ルール・ルートに関しては実は漏れがちな会社が多くあるように感じます。
会社の仕組み・風土に、新人入社時は異常発生時の処置ルール・ルートの教育が必須
この考えを忘れずに、活動の導入をしてください。
過去のトラブルを共有
過去のトラブル内容は、会社のノウハウ・宝です。
過去にこのようなトラブルが発生し、このようなトラブルが発生した場合も情報の共有を必ずすること。
具体的な例を用いて教育すると、異常発生時の情報共有の精度が上がります。
人は自分がトラブルを起こすと、心理的に隠したいと思ってしまう生き物です。
実際にトラブルを起こしてしまった場合に、『隠したい、けど打ち上げしないとまずい』
この心境になってもらい、隠蔽(いんぺい)を防止するためにも、過去のトラブルを共有することが、異常発生時の処置ルール・ルートを有効に運用するための、一つの手段です。
定期的な教育は必須
人間は忘れる生き物です。
基本的に通常の業務を実施しているときに、異常が発生した場合の処置を常に頭において行動している人は、ほとんどいません。
しかし、異常が発生した場合の処置は適正に行わないと、会社の存続に関わる重要な問題になりかねません。
『人は忘れる』、この認識を持ちながらも、会社の仕組みとして適正に運用するためには、定期的な教育が必須になってきます。
私が推奨するのは、最低、1回/3ヶ月の教育を実施し、意識に植え込む必要があると思っています。
1回、教育したから大丈夫という意識は捨てて、計画的に繰り返し教育を実施しましょう。
顧客との事前整合ができれば、より有効
上記で作成した異常発生時の処置ルール・ルートを顧客と異常が発生する前に、事前整合するのも効果的です。
顧客の考え方にもよると思いますが、たいていの顧客は、異常発生時の処置に対して、事前に整合したいですという意思を低評価することは稀です。
この事前整合にするという行動で、顧客の捉え方は、『異常発生時に適正な対応を取り、被害をできるだけ軽減するリスクアセスメントの考えを持っている会社だ』と認識されることが多いです。
実際に異常が発生してから、顧客に連絡し対応するより、事前に自分の会社の異常発生時の処置を整合しておくことで、顧客の適正でスピーディーな判断にも繋がります。
できるのであれば、顧客との事前整合もおすすめします。
ここまでの内容ができれば、かなりの確率で異常発生時の処置を起因とした、取引停止等の最悪なパターンは防止できると思います。
もし、自分の働く会社でこのような仕組みがない・仕組はあるが機能していない等の状況であるなら、今回の記事が参考になれば幸いです。
今回は以上になります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。