この記事はこんな方にお勧めです。
- OODAループってなんぞや?内容を知りたい
- OODAループを人に説明できるぐらい理解したい
- OODAループを使用して今抱えている問題・課題を解決したい
日本の企業には浸透が薄い、改善のフレームワークOODAループ。
聞いた事はあるけど、内容を理解し、実際に活用している方は少なく感じます。
PDCAサイクルだけ理解してればいんじゃないの?こんなことを思われる方もいると思います。
そんな方は特にチャンスです!
OODAループが活用される文化がない会社で働いているということは、今回解説する記事を熟読し、理解することで、必ず会社での問題・課題解決に活かせる場面がきます。
そうなれば、あなたは会社内で先行者優位を獲得できることになるでしょう。
今回の解説では、OODAループの概要説明・PDCAサイクルとOODAループの違い・具体的な使用方法を解説していきます。
それでは行きましょう!
OODAループってそもそも何ですか?
OODAループとは、米軍の意思決定プロセスを理論化したものです。
米空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した理論であり、米軍の組織構造、行動原則、戦略の基軸とされています。
機動性が高く『競争優位』の観点が強いことから、アメリカの優良企業にも広がっています。
と、言われても分かりずらいですよね。
簡潔に言うと
その場で状況判断し、適しているであろう仮説を立て、仮説から何を実施するか決定し行動する。
これが『OODAループです』
①Observer:観察 ②Orient:仮説構築 ③Decide:意思決定 ④Act:実行の流れで進めることから、各項目の頭文字をとってOODAループと言います。
上記の内容をまとめ、要約すると、下記の図のようになります。
OODAループの特徴として、起業を成功させたい・新規事業を開発するといった『工程が明確でない課題』に対して効果的なフレームワークです。
PDCAサイクルと比べると、計画の工程がないことで、より早く改善のサイクルが回せる特徴もあります。
OODAループもPDCAサイクル同様、一度回すことで成功を確実に得られるものではなく、何度も回すことでゴールへ近づいていきます。
それでは、手順に沿って一つづつ解説します。
Observer:観察
観察は単に『見る』という意味ではありません。
適切な言葉か分かりませんが、『外に出て、可能な手段を全て使って情報を取ってこい』
ここでいう観察はこのような感覚です。
このフェーズで重要なのは『先入観なく、ありのままの情報』を集めることです。
生のデータを収集することを意識してください。
Orient:仮説構築
観察した情報を多面的に分析し、情報一つ一つの理解を深めます。
その一方、仮説構築に『ひらめき』を重要視します。
ただの、ひらめきではなく、多面的に分析されたデータ・今までの経験をもとに、算出されたひらめきでなくてはなりません。
これができると、方向性が定まってきます。
Decide:意思決定
方向性が定まったら、何を実行するか、ためらわず決断します。
決断するさい、実現可能性・成果・リスクといったバラランスを考慮し意思決定します。
Act:実行
意思決定した即行動を実施します。スピードを重視してください。
行動が遅くなればなるほど、観察で得た情報が古くなります。
もし、実行で成果が出なくても、実行した内容の情報、実施したことによる状況の変化が、次のOODAループを回す際の貴重な情報となります。
OODAループは一度回すことで成功を確実に得られるとは限りません。
何度もスピードを持って回すことでゴールへ近づいていきます。
PDCAサイクルとOODAループの違いを教えて!
ここではPDCAサイクルとOODAループの違いを、
『受験が迫っている学生に対する教育』を題材に比較したいと思います。
まずはPDCAサイクルでの例題を見ていきましょう。
PDCAサイクルは学校での教育に当てはまります。
時間割を作成し(計画)、時間割通り授業・テストをします。(実行)テストの採点を行い(評価)、間違った箇所を自主学習させる。(改善)
なんら、問題のない流れのように見えますが、受験が迫っている学生に対してこれを繰り返していても、実際に成果、受験合格にたどり着く確率は低いと言えます。
次にOODAループの例題です。
OODAループは個別塾での教育に当てはまります。
社会の中でも地理が苦手(観察)、勉強方法を変えて教育しないとまずい(仮説構築)、特化した教育に変えよう(意思決定)、特化した教育を実施する。(実行)
こちらの方が、受験が迫っている学生に対して、適正なアクションではないでしょうか。
このように、PDCAサイクルは計画から始まるので準備・時間が必要ですし、現場での臨機応変さに欠けるというデメリットがあります。
対してOODAは現場が起点となっているので、柔軟に対応できます。
まとめると、PDCAが「計画を立ててから行動する」のに対し、OODAループは「状況をみてとりあえずやってみる」ところから始まります。
OODAループを高速で繰り返しながら、都度調整を加えていくことができるようになれば、素早く適切な決断を下すことができ、変化に対して臨機応変な対応が可能になるため、結果、問題解決能力が向上する、という仕掛けになっているのです。
☟PDCAサイクルの考え方・使用方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
理解を深めて、PDCAサイクルを使いこなそう!【具体例をもとに解説】
OODAループの具体的な使用例
さて、OODAループの内容、PDCAサイクルとの違いを学んで、OODAループの理解が深まったと思います。
これからは、OODAループをどのように活用し、会社に浸透するにはどのような考えで、行動をすればいいかを解説します。
活用方法を難しく考えない!こんな感じでいいんです
実際にOODAループをどのように会社で活用するか?
新しいことを始めるときは、難しく考えがちです。
先ほどの、『受験が迫った受験生に対する教育』を例題に解説します。
簡単なフォーマットを作りましょう
上記のような、簡単なフォーマットを作成します。
OODAループを回すと言っても、口頭で意思疎通を図るのは不可能です。
誰が見ても分かるようなフォーマットを作成し、内容を共有できる環境を整えます。
まずは今回の取り組むテーマ『受験が迫っている学生に対する教育』を赤枠内に記載します。
◆STEP1【観察】の進め方
この観察では、可能な手段を全て使って情報を取ります。
今回の場合でいうと
- 受験まであと3か月
- 対象の受験生は1日8時間勉強している
- 今現在は学校の授業と家での自主学習で全科目同じくらいの時間を費やしている
- 国語・数学・理科・英語は受験合格率95%だが社会だけ60%程の合格率である
- 社会の中でも特に地理の点数が低く、地理だけ見ると合格率は50%以下である
このような感じです。
できるだけ、いろいろな角度から情報を収集し、ありのままのデータを集めることを意識しましょう。
※上記内容を記載したフォーマット☟
観察のデータは先入観を防止するために、1人だけの情報ではなく、複数人で出すことを心がけてください。
この観察のデータに偏りがあると、仮説構築からのプロセスにおいて、精度が低くなることがあります。
スピード感を持ちつつも、かつ慎重に情報収集しましょう。
◆STEP2【仮説構築】の進め方
次に観察した情報を多面的に分析し、情報一つ一つの理解を深めます。
今回の場合でいうと
- 1日8時間の勉強時間は適正で申し分ない
- しかしこのままでは、社会の成績の悪さで受験に合格する確率は低い
- 1日8時間の勉強時間を社会にあてる比率をあげるべきでは
- そのために、他の教科の勉強時間は減らそう
- 社会の中でも地理に8割・歴史に2割の勉強時間でやるべきでは
- 自主学習ではなく、塾講師を付けて学習効率はもっとあげるべきでは
このような感じです。
仮説構築により、方向性が見えてきました。
この中でも、『自主学習ではなく、塾講師を付けて学習効率をもっとあげるべきでは』これは、ひらめきにあたります。
仮説構築では、ひらめきを重視した考え方も必要です。
今の現状を正しいと思うのではなく、多面的に仮説をたてる意識を持ってください。
※上記内容を記載したフォーマット☟
仮説構築も観察同様、1人での考案ではなく、複数人で意見を出し合い、理解を深めます。
◆STEP3【意思決定】の進め方
方向性が定まったら、何を実行するか、ためらわず決断します。
上記の解説でも記載しましたが、決断するさい、実現可能性・成果・リスクといったバラランスを考慮し意思決定します。
意思決定で意識したいことは
- どうなりたいかを再確認する
- 考えられる選択肢を全てリストアップする
- 1番効果的と思われるものを仮説に沿って選択する
活動を進めている中で、目的→どうなりたいかがぶれることがあります。
仮説構築の情報から考えられる選択肢を全てリストアップし、目的と選択肢を照らし合わせ、一番効果的であると思われる行動を選択します。
※上記内容を考慮し記載したフォーマット☟
今回は目的と選択肢を照らし合わせ『自主学習を止めて、塾講師に預け、苦手な社会を重点的に勉強する(地理8割・歴史2割)に決定です。
◆STEP4【実行】の進め方
意思決定した即行動を実施します。スピードを重視してください。
意思決定で『自主学習を止めて、塾講師に預け、苦手な社会を重点的に勉強する(地理8割・歴史2割)』に決定しました。
実行の段階では、これをもう少し細分化した行動に変換します。
- 塾講師の選定
- 塾講師との整合(社会を重点的に教育してほしいことを伝える)
- 結果の把握:2週間後にテストを実施、点数の評価を実施する
このような形で、行動を明確にします。
特にこのケースでは、どのタイミングで効果を確認するか?これを必ず決めてください。
今回のOODAループを回すことで、必ず効果を得られるとは限りません。
大事なのでもう一度言いますが、高速にOODAループを回すには、どのタイミングで効果を確認するか?この日程設定が重要です。
※上記内容を記載したフォーマット☟
後は実行するのみです。
今回実行したOODAループで結果が出るかもしれませんし、出ないかもしれません。
出たなら続ければいいですし、出なかった場合は、今回の活動の結果が、次のOODAループを回す際の『観察』の情報になります。
例えば、今回の活動を実施した結果で、社会の全体の合格率が85%まで上がり、苦手だった地理は90%まで上がった。しかし歴史が75%と伸び悩んでいる。
このような結果になったら、その情報が次の『観察』の情報になり、仮説構築では、①塾講師にしたのは正解だった②社会の勉強比率に誤差があったのでは、このような仮説構築ができます。
そうすると意思決定では、『勉強比率を地理50%・歴史50%に変えて実施しよう』
このような意思決定ができると思います。
このように、OODAループは変化に対し、臨機応変な対応が可能になる改善のフレームワークです。
PDCAの限界を感じている方、現場で臨機応変な対応を迫られて困っている方、
新しい改善のフレームワークを試してみたい方はぜひ活用してみてください!
☟OODAループを極めたい方に、おすすめの本
今記事の解説は以上になります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。