会社で「信頼」「信用」って言葉、割と気軽に使っていると思います。
「信頼」「信用」って言葉を何も考えず使ってしまうと、痛い目に合う可能性があることを理解して使っている人は、少ないような気がします。
私は会社での人間関係において「信頼」は必要ですが「信用」は不必要だと考えています。
今回はこの「信頼」「信用」の適した使い方、考え方について1,300人の会社でマネジメント・コーチングを10年以上実施している西島が解説していきます。
会社での人間関係、「信頼」しても「信用」するな!
まず、「信頼」と「信用」という言葉の意味を調べてみました。※ネットでサックと調べました。
【goo辞書調べ】
◆信頼◆
信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち。「信頼できる人物」「両親の信頼にこたえる」「医学を信頼する」
◆信用◆
1:確かなものと信じて受け入れること。「相手の言葉を信用する」
2:そこまでの行為・業績などから、信頼できると判断すること。また、世間が与えるそのような評価。「信用を得る」「信用を失う」「信用のおけない人物」「店の信用に傷がつく」
3:現在の給付に対して、後日にその反対給付を行うことを認めること。当事者に設定される債権・債務の関係。「信用貸付」
このように記載されていました。私が上記内容と、自分の経験を合わせて思う「信頼と信用できる人」と「信頼はするが信用しない人」の基準はこんな感じです。
◆信頼と信用できる人◆
基準:お金を持っていかれても、しょうがないと思える人【家族・昔からの友人】
◆信頼はするが信用しない人
基準:悪い意味ではなく、お互いの行動を確認しあえる間柄の人【会社の人間関係全般・大人になってから知り合った人】
こんな感じの思考で、会社での人間関係、関わりを持っています。
詳しく解説していきます。
なぜ、会社の人間関係で「信用」が不必要なのか?
「信用が不必要⁈」仲間を信用するなってことかよ!と思われる方もいるかもしれません。
語弊を覚悟で言いますが「ビジネスを行う上では鉄則な思考」であると考えます。
私がなぜ、会社での人間関係で「信用」が不必要であると思うかは、下記の2点です。
- 業務内のヒューマンエラーに気づけなくなるから
- 人の思考はすぐに変わるから
1つずつ、解説していきます。
業務内のヒューマンエラーに気づけなくなる
これは大きな問題ですよね。会社での仕事は、どんな仕事でも顧客の要求を満たすために行っているのが前提だと思います。
その業務を、適正に効率よく行うためにも、会社で一緒に働く仲間に対して「信頼」を持ちながら仕事をすることは、とても重要なことと思います。
しかし、ここで勘違いしやすいのは会社の仲間に対する「信頼」と「信用」が、ごちゃ混ぜになってしまいがち、ということです。
例えば、「信頼」⇒信じて頼りにしている、この思考を基に、部下に仕事を任せることはとても大事ですが「信頼」⇒確かなものとして信じて受け入れる、この思考を真に受けていると、「部下がやった仕事は信頼しているので問題ない」このような思考になりかねません。
皆さん、すでに分かると思いますが、この思考が自分の中で先行すると、「仕事の出来栄えを確認しなくていい」、このような思考に陥る可能性があります。
そして、このような人は今までいっぱい見てきました。(何気にいますよ)
結果、部下を「信頼・信用」しているという、ていのいい言い訳で顧客からのクレームや取引停止になった事例を何回か見ました。
これは、怖いですね~。
人はヒューマンエラーを起こす生き物です。これを前提に行動しないと「信頼」と「信用」がごちゃ混ぜになり、予期せぬことが起こる可能性があります。なので私は、仕事で「信頼」は必要と思いますが「信用」は不必要だと思います。
人の思考はすぐに変わるから
「信用」が必要ないと思うもう一つの理由として【人の思考はすぐに変わるから】、ということがあります。
今までどんなにミスが少なく、精度の高い仕事をしている人でも、人間は機械ではありません。
人は、毎回同じ環境・気持ちで仕事できることの方が少ないと思います。
「今日は仕事に身が入らないなー」とか「今日はなんか、のらないんだよなー」って日はざらにあります。
会社での人間関係や、家での問題、人はいろいろな状況、いつも違う状況で仕事をしているので、そのアウトプットの精度が変わる、もしくはミスの箇所が増えるなどは当たり前と思っていたほうが無難です。
「こいつは出来るから大丈夫」とか「こいつは俺のことを信頼しているから、いつもいいアウトプットをしてくれる」とかの考えは、今日からドブに捨てるようにしましょう。
あまりに「信用」という言葉が先に出ると、痛い思いをします。
ここでいう、痛い思いとは、自分個人だけではなく、最悪、会社全体の運営に関わる可能性があることを認識したほうがいいと思います。
会社での「信用」が不必要と思うもう一つの理由でした。
会社での人間関係で重要な思考
では、会社での人間関係で重要な思考は、どのような思考でしょうか?
私が思う、重要な思考は下記の2点です。
- やはり、「信頼」は大事です
- 「信用」はお互いで築き上げるもの
1つずつ、解説していきます。
やはり、「信頼」は大事です
ここで、再度強調したいのは「信用」は不必要ですが、「信頼」は絶対に必要ということです。
今までの説明を、過剰に受け取ってしまう人は、人に対する「信頼」もしなくなってしまう可能性があります。
再度おさらいですが、「信頼」⇒信じて頼りにしている、この思考は人間関係を円滑に回すためには、絶対になくしてはいけない思考です。
「信用」をしないと「信頼」をしないが、ごちゃ混ぜにならないように気を付けてほしいいです。
「信頼」⇒信じて頼りにすると「信用」⇒確かなものとして信じて受け入れる
この違いを、常に意識して行動してください。
「信用」はお互いで築き上げるもの
私が一番言いたかったのは「信用」はお互いで築き上げるもと、ということです。
「信用」しないから、「部下の仕事は徹底的に確認してミスを指摘してやる」
行動としては、実際に確認を徹底するんですが、意味を理解させずにこの行動を急に取ってしまうと部下からの不信感や、部下が自分に対しての苦手意識を持ってしまい、そうなってしまうと本末転倒です。
こうならないためにも、部下(顧客での対応も同様)に対して、徹底的に確認する目的を伝えてから行動に移してください。
ここでいう目的とは、
徹底的な確認によって、顧客が満足するサービスを提供するため とか
部下のスキル・気づきを上げるための、徹底的な確認 とかですかね。
この目的を伝えてから「信用しない行動」に移すのと、伝えないで「信用しない行動」に移すのでは、結果が大きく変わってしまいます。
ここには充分、気を付けてください。
この意図がうまく伝わると、部下からのフィードバックも得られるようになるます。(完璧に自分の所感ですが)
この「信用関係」がうまく構築できれば、仕事でのミスが減るだけの効果ではなく、「顧客からの信頼」「部下・従業員のスキル・気づきの向上」「自分のスキル・思考の向上」につながると、私の経験上、確信しています。
今までこのような、体質がない会社で実施すると、始めは抵抗を示す方もいるのが事実です。
会社の体質は人数が多ければ多いほど、変えるのには時間がかかります。
焦らず、まずは狭い範囲で試みていただくことを、おすすめします。
本日は、以上になります。
少しでも皆さんの、お役に立てたら幸いです。
ありがとうございました。