目標8働きがいも経済成長も 世界が抱える課題/問題
経済成長と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
収入が増えて生活が豊かになり安定する、みんなが幸せになるといったポジティブな面を感じられると共に、長時間労働や収入格差、また環境を汚染するイメージを持たれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
経済の発展を優先するあまり世界中で不当に安い賃金で働かされている人、教育を十分に受けられず幼いころから望まぬ仕事につかされている子供たち、そして数多くの環境破壊が今も行われています。
その解決方法としてよく挙げられるのが発展途上国への金銭的な支援だったり、環境に優しい活動ということでボランティアしたりすることが挙げられます。
また経済発展よりも心の豊かさだけを重視する考えもあります。
もちろんそれも良い方法なのですが持続可能かを考えると金銭的な支援やボランティアの活動を無償で続けていくこと、経済の発展を進める声から目をそらし続けることは困難です。
言い換えると、世界中の人が誰一人取り残されず幸せになるためにサステナブル(持続可能)な経済の発展をすることが求められているということです。
貧困も環境破壊も両方同時に解決する方法として一番わかりやすく、すぐにできることは大量生産・大量消費からの脱却です。
これが社会を良い方向に変えていく、シンプルかつ最も良い方法の一つと言えます。
大量生産、大量消費は安易な方法であり、不当に安い賃金での労働、長時間労働にも繋がるからです。
☟その他世界の現実:数値で見る課題・問題
- 後発開発途上国のGDP成長目標は7%と設定されている。2018年:4.5%、2019年:4.8%と上向いたが新型コロナウイルスのパンデミックによる2020年:0.8%まで低下している。(2021年度:4.6%まで回復)
- 2019年の世界の失業率は5.4%。北アフリカと西アジアでは10.7%であり、また女性の失業率は男性に比べて9%も失業率が高い水準となっている。
- 2018年、世界中の若者の5分の1が教育、雇用、訓練のいずれにも従事しない、いわゆる『ニート』である。特に中央アジア、南アジア、北アフリカ、南アフリカ、西アジアでは深刻な状況で若者の4分の1がニートである。
このような課題/問題を解決するためにSDGs目標8働きがいも経済成長もではどのようなターゲット・指標が設定されているのでしょう?
目標8働きがいも経済成長も ターゲットと指標
目標8働きがも経済成長もでは、12個のターゲット(具体的な取り組み内容)と、17個の指標(達成・未達成の判断基準/項目)が設定されています。
開発目標8『働きがいも経済成長も』の考え方の大きな特徴は世界中の経済の発展と環境保全や貧困の撲滅を両立させること、そしてそれを未来永劫継続させることです。
経済成長とはお金による利益を生み出すことです。日本の方は特にお金を稼ぐ、利益を出すということに良いイメージを持っていらっしゃらない方が多いように感じます。
しかし、SDGsの活動の根幹でもある持続可能という意味には、そこに一定の利潤が生まれなければ活動を維持していくことは困難です。
世界中の人と地球の環境にとって、どちらにも良い状態であることを継続することが大切です。
それでは、どんなターゲットや指標があるか見ていきましょう。
↓初めは数字表記のターゲット及び指標
ターゲット(具体的な取り組み内容) | 指標(達成・未達成はどんな指標で判断?) |
8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ | 8.1.1 一人当たりの実質GDPの年間成長率 |
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様性、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する |
8.2.1 労働者一人当たりの実質GDPの年間成長率 |
8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する |
8.3.1 農業以外におけるインフォーマル雇用の割合(性別ごと) |
8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10ヵ年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る |
8.4.1 マテリアルフットプリント(MF)及び一人当たり、GDP当たりのMF |
8.4.2 国内総物質消費量(DMC)及び一人当たり、GDP当たりのDMC |
8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する |
8.5.1 女性及び男性労働者の平均時給(職業、年齢、障害者別) |
8.5.2 失業率(性別、年齢、障害者別) |
8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす |
8.6.1 社就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない15~24歳の若者の割合 |
8.7 強制労働を根絶し、現代奴隷制、人身売買を終わらせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含めあらゆる形態の児童労働を撲滅する |
8.7.1 児童労働者(5~17歳)の割合と数(性別、年齢) |
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する |
8.8.1 致命的及び非致命的な労働災害の発生率(性別、移住状況別) |
8.8.2 国際労働機関(ILO)原文ソース及び国内の法律に基づく、労働権利(結社及び団体交渉の自由)における国内コンプライアンスのレベル(性別、移住状況別) |
8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する |
8.9.1 1全GDP及びGDP成長率に占める割合としての観光業の直接GDP |
8.9.2 全観光業における従業員数に占める持続可能な観光業の従業員の割合 |
8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスはのアクセスを促進・拡大する |
8.10.1 成人10万人当たりの市中銀行の支店及びATM数 |
8.10.2 銀行や他の金融機関に口座を持つ又はモバイルマネーサービスを利用する(15歳以上の)成人の割合 |
↓ここからアルファベット表記のターゲット及び指標
8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する |
8.a.1 貿易のための援助に対するコミットメントや支出 |
8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用する |
8.b.1 国家雇用戦略とは別途あるいはその一部として開発され運用されている若年雇用のための国家戦略の有無 |
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