この記事は
- 人材育成してるけど効果が薄い
- 人材育成の効果を高め、会社や自分の部署をうまくまわしたい
- そもそも人を育てる観点が知りたい
会社で教育する立場の方におすすめの記事です。(特に新人管理者にはおすすめ)
『自分は十分教育してるんだから、理解しない・動かない相手が悪い』
そんな思考が少しでもあるなら、今後教育を進めてもうまくいくことはないでしょう。
この記事では500名以上の人材育成経験のある私が、失敗に失敗を重ね学んだ、人材育成時に特に必要な2つの視点を紹介します。
取り扱うのが『人』ですから全てうまくいくとは限りません。
しかし今回紹介する知識・思考を理解・実践することで人材育成に対する悩みが軽減することをお約束します。
知って損はないと思います。
それでは早速解説していきます。
『教育すれば人は変わる』は勘違い⁈人材育成で大事な2つの視点とは?
そもそも人材育成の定義って説明できるでしょうか?
この質問をすると返答できなかったり、人材育成は必要だから・・・
等の抽象的な答えが返ってくることが多いと感じています。
色々な視点があるとは思いますが、この記事での人材育成の定義は
人材育成で必要な2つの視点
人材育成の定義がわかったところで、どのような視点を持って進めればいいのでしょうか?
- 教育環境で人材育成の効果は変わる事実を知る
- 教育側の視点で考えるはNG
順番に解説します。
教育環境で人材育成の効果は変わる事実を知る
ここでいう教育環境とは教育対象者の人数のことです。
教育と一口に言っても教育対象者の多い場合・少ない場合があると思います。
ここの仕分けはとても重要です。
教育対象者が多い場合の効果は?
教育対象者が5名以上の場合を多い場合として私は定義しています。
5名以上に何かを教育する場合は、95%以上の確率でその後の行動は変わらないと考えています。
もちろん参加する人の立場やスキルによってバラつきはありますが、継続的に教育の効果が持続することはほとんどありません。
それじゃあ、やる意味ないじゃん、って思われますよね。
そんなことはありません。
教育対象者が多い場合での教育で期待する効果は参加者の『知識の引き出し』を増やすこと。
教育対象者が知らなかった知識に触れさせるイメージです。
それができればで十分です。
よく聞くのが『教育したのにあいつは動かない・理解度、意識が低すぎる』とか言っている方を見かけますが、これは教育側の傲慢な考え方と言えると思います。
もちろん、教育を実施する方のスキルによっては行動を促す教育もできるかもしれません。
しかし普通のサラリーマンは講師のプロでもないし講演家でもありません。
教育時の人数が多い場合は『自分の発した言葉で他人の行動が変わればラッキー』ぐらいに捉えるようにしましょう。
『そんなもんなんかね~、でも教育で人の行動を変えたいよ~』そう思いますよね。
そんな場合は、少人数を対象に教育することが効果的です。
行動を変えるには少人数に対する教育方法
少人数の定義は4名未満とします。
しかし4名未満だからといって必ず人の行動を促すことに繋がるとは限りません。
教育をする順番がカギを握ります。
ここでいう順番とは、
- 大人数に実施した教育で取り上げた内容を
- 少人数の教育時に深堀して教育
この順番で教育することです。
大人数で実施した教育は、この少人数の教育の種まき的なイメージです。
事前に情報だけ与えといて教育対象者に考える時間を与えます。
大人数の会議で質疑応答の時間を取っても、手を上げる人が少ない。
そんな経験は誰しもが持っていると思います。
これは、教育対象者が質問がない・興味がないわけではありません。
人数が多いときの発言が怖い・恥ずかしいや、ただ自分が質問したいことが頭でまとまっていないから質問が出来ない。そのような場合がほとんどです。
しかしこの質問をしないことをほっておくと、教育対象者は疑問を抱えながらの活動になるので行動が変わることはありません。
なので、教育対象者に発言しやすい環境、質問したい内容をまとめる時間を与える。
これが重要になってきます。
大人数の教育実施からどのぐらいの期間あけてから少人数の教育をすればいいの?って疑問を持つ方もいると思います。
これは最低でも3日以内には実施することが望ましいと思います。
経験上、それ以上時間を空けると大人数で実施した教育の効果(種まき効果)はなくなります。
逆に大人数の教育終了後すぐに実施する。
これは効果が大きいと感じます。
ここまでは教育実施方法の観点を解説しました。
これからは教育対象者に対してどのような視点で関わればいいか?
これについて考えていきます。
教育側の視点で考えるはNG
教育者が時間をかけて自分的には、かなりいい感じの教育資料を作り
『これなら絶対伝わる』と教育を実施。
でも実際やってみると、伝わらない。行動が変わらない。
こんな経験は誰しもが持っていますよね。こんな時、いらいらしてしまったり...
自分はちゃんとやってるのに!あんなに時間をかけてやったのに⤵
ここから脱却する視点を解説します。
教育前に教育対象者の分析を怠らない
この章では少人数での教育に的を絞って解説します。
先ほども『少人数に対して教育実施しても必ず行動を促せるわけではない』と言いましたが、かなり効果がUPする方法があります。
それは、教育前に教育対象者の分析を怠らないことです。
具体的にいうと
- 教育対象者の業務内容(日々どのような業務に従事しているか)
- 教育対象者の利害関係者(周りの人間関係、上司や部下との関係)
- 教育対象者のプライベート(趣味・特技・休日には何をするのが好きか等)
- 教育対象者が今抱えている悩みごと(仕事でもプライベートでもOK)
教育前に上記の内容を把握します。
把握するにも限度がありますよね。
少人数教育を4名で設定してるのはそのためです。(この人数ならなんとか把握できるレベルです)
もちろん、日々コミュニケーションが取れていてそんな情報知ってるよ、って方はこの工程は飛ばしていいと思います。
いやいや、教育するのにそんな情報いらないでしょ!と思われる方もいるかもしれませんが、そのような考えは今日からドブに捨てましょう。
教育実施時に伝わる方法の一つとして『自分毎に置き換えて考えてもらう』が効果的です。
上記情報を事前に把握しておくことで、伝えたい内容を教育対象者の興味のあることに置き換えて説明したり、ピンポイントンで悩みごと解消へのアプローチをかけることができるようになります。
あくまでも、教育を実施して行動を変えるのは教育対象者。
教育者がどう思うかは関係なく、教育対象者にどう思ってもらえるかが重要です。
プレゼントを渡すイメージというとわかりやすいでしょうか。
プレゼントを渡す側(教育者)はプレゼントを選ぶとき相手(教育対象者)が喜んでくれそうな物を選びますよね。
渡す側の人は、事前に相手が何が好きで、何に興味があってとか調べますよね。
そんな感じです。
相手が喜んでくれることをプレゼントする。
そのような関係性の中で教育を実施すると『伝える』ではなく『伝わる』教育になると言えます。
一度試してみてください。
有効であることを実感できると思います。
答えを与える教育では人材は育たない
行動を変えてもらいたいことを伝えるときに多くの方は
『こうしてほしい』『こうするべき』とすぐに答えを教えてしまう方法を取っています。
もちろん緊急を要する場合等は仕方のない行動と思いますが、人を育てるという観点ではあまりいい方法とは言えません。
答えをあげる=人が育つ、この考えで教育していると教育対象者が自分で考える癖が付きません。
人材教育を実施する最終的な成果として、教育対象者が
『自分で考え、答えを出し、自発的に行動する』
これが理想形と思います。
そのような状態に教育対象者を持っていくには
『本人が考え、答えを導く』
これを誘導してあげることが大切だと言えます。
そのためには、『こうしてほしい』『こうあるべき』ではなく
『この場合どうする?』『どうあるべきだと思う?』と質問を投げかけ本人に考えさせることが有効です。
これは言うのは簡単ですが、教育側としては求めている答えが返ってこなかったり、お門違いな発言があったりと、初めはかなりジレンマを感じると思います。
ここは教育者の我慢が必要です。
教育者側の視点で考えるのではなく、教育対象者側の視点で考えることができれば『我慢の課題』も乗り越えることができると思います。
この考えさせるプロセスをいかに多く経験させるか、これが人材育成の根底であることは間違いありません。
1回の教育で伝わるは傲慢な考え方
今までに解説した方法や観点で人材教育をしても実は勝率はまだまだ5割程度です。
根底の考えとして『人は今の状態から変わりたくない生き物である』これを理解する必要があります。
ここでは、もう一度人材教育の定義をおさらいしていきましょう。
定義は『自分が発した何かに対して人が影響を受け、その後の行動が変わること』
でしたよね。
ってことは、教育後、教育対象者の行動が変わったかどうか、これを確認をする必要があります。
教育者のほとんどが、教育の実施方法や内容を吟味し、かなり時間を掛けて行ったにもかかわらず、それだけで終わっているケースがほとんどです。
この状態は、教育者が『教育を実施することが目的』この視点から抜け出せていない証拠です。
人の行動はそう簡単には変わりません。
しかしその行動を少しでもいい方向に変えることが人材育成の目的です。
そのためには、教育実施後に実際に行動が変わったかどうかの確認や成果の確認が必要になります。
そんなに難しく考える必要はなく、教育後に教育対象者との雑談の中で軽く、教育した内容を話題にしたり、実際にやってみて困っていることを聞き出したり。
そんな感じで十分です。
しかし、これがとても効果を発揮します。
ここまで意識して取り組むと、人材教育の精度はかなり向上すると言えます。
まとめ
今回の解説要点をまとめると
- 人材育成の目的は『自分が発した何かに対して人が影響を受け、その後の行動が変わること』
- 大人数の教育は、知らない知識に触れさせるための『種まき的な位置づけ』伝わらないのは当たり前だからいらいらしない
- 少人数環境での人材教育が人の行動を促すカギ
- 人材育成の主役は教育対象者。教育側はわき役に徹する
- 答えではなく、質問を投げかけて自発的に考える癖を植え付けるイメージ
- 教育後のフォローまでが人材育成。これ重要!
こんな感じです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
少しでもお役に立てれば幸いです。
では、また!